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枯​葉​の​園 / Fallen Leaf Garden

by Café Rainbird

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夢を見ていたんだ きっと 陽光差し込む窓辺で 淡い午後の木洩れ日のような やさしい夢を 春 色とりどりの花咲く庭 白い小鳥が甘く愛の歌うたう 胸に秘めた言葉は  結局君に届かぬまま 夢の中の思い出に  静かに眠っている 涼しい夕の風が吹いて 午後の夢から醒めれば 熱い夏の日射しはもう 部屋の中に届かない 秋 枯葉散るセピア色の庭 誰もいない風景が 黄昏に沈む ねじの切れた心は 時を刻むのをやめたまま 暗く深い夕闇を 今でもさまよっている 懐かしい日々の思い出に 囚われ 心錆び付いて ほら 長い時が過ぎても 僕の季節は巡らぬまま 同じ秋の旋律を 何度でも繰り返す 君のいない世界は 時の歯車壊れたまま 遠い終末の訪れを 寂しく夢見ている
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果てしない旅の終わりいまだ見えずに 暗がりの中を あてどもなく ひとりうつろう 繰り返す 何度となく 眠りとめざめ 入れ替わる 夢と現実 溶けて混ざって 通り過ぎていく景色も 路傍の可憐な花すらも うつろな瞳に映るすべて やがて消えゆく幻影 心朽ちる 永い時の迷路で 救いのない別ればかり繰り返して ああ さまよう 夢と夢のはざまで 錆び付いた時間の果て 憩いのない場所で 花びらに ほんの少し指が触れれば 一瞬で黒く枯れて 散って崩れる すれ違う命 まるで硝子のように 粉々の砂になって 壊れて消えて 身を焼く切な願いも せつない胸の傷さえも  うつろな心の痛みすべて やがて消え去る陽炎 こぼれ落ちる 永い時のきざはし 望みのない期待ばかり繰り返して ああ うつろう 夢と夢のはざまで かなわない願いの果て 記憶のない場所で 崩れ落ちる 殻のような意識が 終わりもなく 夢と目覚め 繰り返して ほら さまよう 夢と夢のはざまで 朽ち果てたこの世の果て 誰もいない場所で
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壊れた瓦礫の街で月の下をふたり歩く あなたは無口で いつもやさしい瞳で微笑むだけで 凍える白い夜は あなた わたしの手を取って かじかんだ手が そのぬくもりでほんのり暖かくなる この手をつないで 離さないでいて 静かに眠れるように 心を満たして やさしい温度で ずっとそばで この痛みが消えてやすらげるまで 崩れた遺跡の地下は かびと土のにおいがして 古代の空気の底で ずっと息が詰まりそうで 寂しい蒼い夜は わたし あなたと寄り添って どうしようもない心細さをきっとやわらげたくて すぐ近くにいて 離れないでいて こころが休まるように ひとりにしないで 一緒に眠って ずっとそばで この孤独が消えてやすらげるまで ――本当は知ってる あなたはまぼろし いとしい わたしの幻想 最期のときまで わたしをだまして ずっとそばで この身体が消えて灰になるまで
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赤く暮れなずむ空 影が長く伸びて 古い煉瓦の小道を風が通り抜けていく 影は暗く 陽が落ちれば ほら  闇夜にこころ呑み込まれそうで 更けゆく秋の景色に 囲まれながら 散り急ぐ木の葉たち たそがれて ねじれた時の中で僕たちは セピア色の夢にとらわれ 眺める 今日もまた秋の世界を 広く晴れ渡る空 蒼く空気澄んで 風に吹き散る落ち葉が ひらりひらり踊って 空は深く 覗きこめば ほら  虚空にこころ吸い込まれそうで 今でも君の時計は停まったままで 巡りゆく季節さえ 気づかずに 閉ざされた夢の中で僕たちは 行き場もなく取り残されて さまよう 今日もまた秋の世界を 暮れていく世界は 静寂に満ちて 映し出す 過去の記憶をずっと いつしか時は流れて季節は巡る この場所に僕たちを忘れたまま 壊れた秋の虚像に 陽はまた沈む 心象が何度でも舞い散って 懐かしい君も僕の思い出も 夕暮れ色の海に沈む ものみなやすらかに 秋に埋もれる
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とりとめなく過ぎていく日々は 遙か遠い過去の残響 記憶のないぼやけた風景は 機械の夢を映す銀幕 さあ、夕日が沈み 蒼い幻燈が映し出す むかし誰かの見た希望を ただ寂しく繰り返して 形もなくゆらめく炎のように 浮かび上がる世界は かつて在ったまぼろし 誰もいない棄てられた街は 電気仕掛けの夢を見ている さあ、朝日が昇り 強い日光が照らし出す かつて誰かの望んだ未来の 哀しい残骸を あてどもなく漂う煙のように 薄れていく世界は どこにもないまぼろし 夢の中で時は過ぎて 日が昇り そして目覚める 夢が醒めて時が過ぎて そしてまた 過ぎた日の夢見る さあ、夜が満ちれば 淡い幻燈が紡ぎ出す 古い記録の中の夢 もう見る人もないのに 終わりもなくうつろう時間の中で 機械たちが夢見る 終わりの後の世界 過ぎゆく終わりの夢 夢の終わり  夢と目覚め繰り返す 永遠のロンド――空っぽな夢を見続ける 儚い過去のまぼろし 儚い過去のまぼろし
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夜空は明るみ 蒼く光さしこむ つぼみはほころび 澄んだ風が通りぬける 時計はちくたく 刻む音色 寝息のようで 景色はのどかに 翡翠色の夢をみている おだやかな眠りを いばらの悪夢がときには邪魔をしても 大丈夫 ここは静か めをつぶって やすらかにおやすみ やさしい木洩れ日 春の風に揺らめく 水辺は花咲き いぶき満ちて色鮮やか 日射しはうららか 光満ちる生命の調べ 緑のゆりかご やすむ影の眠りは深く 傷ついた心が ほのおの記憶にときにはうなされても 大丈夫 ここは静か めをつぶって  おだやかにおねむり 草木はささやく 心地のよいしじまに ものみなまどろみ 花の蜜は甘くかおる 鏡の庭園 水に映る 影のたわむれ 想いを祈りに ここは君のやすらぎの庭 永久の時間に 孤独の幻想に心が囚われても 大丈夫 ここにいるよ 悲しまないで しあわせな夢を 朽ち果てた世界に 終末の時がいつかは訪れても 大丈夫 ここにいるよ ここにずっと 君のいる場所に だから今日も 夢の中でおやすみ
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released August 10, 2018

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