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世​界​の​果​て​の​渚​で / On the Beach of the World's End

by Café Rainbird

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1.
2.
どこまでも続く ひらけた砂浜 真夏の日盛り 他に人もなく 誰かが忘れた麦わら帽子が ひとりで寂しく 砂にうずもれて まぶしい日射しが 砂に焼き付いて 黒い影だけが 色濃く滲んで ゆらめく風景 これは白昼夢 儚い夏の蜃気楼 浜辺に残った僕の足跡を 鈍色の波が 遠くに持ち去る 記憶を持たない砂の画布は はじめからなにもなかったみたいに どこにも着かずに 誰にも会わずに 波の音だけが無限に響いて さまよう僕は渚にゆらめくまぼろし 他人事の毎日 過ぎていく日々は ひたすらむなしく通り過ぎていく あてどのないまま つたなく空回りして 朝 どこかで日が昇り 夕 どこかで日が沈み ほら いつしか夜は更け むなしい今日が去っていく また朝日が昇って明日が来るんだ 明日の明日も そのまた明日も 際限もなく打ち寄せる波のよう 泡のような毎日に ただ待つしかないのだろう 無限に続いていく空虚な夢の終わりを
3.
夏の終わりの祭りの夜は 仮装した人々が街にあふれ 遠い異国に迷い込んだようで 流れゆく雑踏をただ眺めていた 目と目があって 足がとまって 君と僕 ふたりだけ時が止まる そのとき既に僕らふたりともが ああ 高鳴った鼓動を胸に感じていた 広い広い夜の空に 孤独な星がただようように 寂しい夜空の ふたりの出逢い 僕らはめぐり逢った ルララルララ 星が降る 夜の闇を照らして ルララルララ 星のロンド ふたりの時間が動き出すよ ほほえみかけて 言葉交わして にぎわった街中をともに歩く  手と手がふれて やがてつなぎあって そう お互いの温度を感じていたかった 長い長い時の果てに 星と星とが近付くように 冷たい宇宙の ふたりの出逢い 僕らは惹かれあった ルララルララ 星が降る 闇に燃えてきらめく ルララルララ 星のロンド ふたりの世界が 回り出すよ (improvisation) 夏の終わりの星祭りは  どことなく懐かしく どこか寂しげ 不思議な出逢い まるで夢のようで まだ現実のことと信じられなくて 遠い遠い闇の彼方 星のあかりがまたたくように はかない奇跡 ふたりの出逢い 僕らは求めあった ルララルララ 星が降る 長い夜のはざまに # ルララルララ 星のロンド まぶしく輝いて 宇宙をめぐる星にとって まばたくよりも 短い時間 永遠のような 素敵な時を 僕らは過ごしたんだ ルララルララ 星が降る まばゆいほどせつなく ルララルララ 星のロンド ひとときの逢瀬に 星の海で 僕らふたりは めぐる運命に導かれて  永遠のような一瞬のロンド あふれる想いに身をまかせて
4.
理由もなく ある日急に 言いしれぬ不安が 胸をかきみだす それはきっと 静かな予感 来たるべき結末の足音 休みなく 終わりもなく 時の砂はこぼれる だけどこのまま時が止まれば 何も悩まずにすむのに 僕は明日を信じない 僕は明日を信じられない 希望に満ちた輝く日々に いつか終わりが来るなんて 狂いなく 迷いもなく 時の針は進む だけどこのまま時が止まれば 悲しみを知らずにすむのに 僕は未来を信じない 僕は未来を信じられない 思いにあふれた美しい日々に いつか別れが来るなんて 僕は明日を信じない 僕は明日を信じられない 光に満ちた輝く日々に いつか終わりが来るなんて
5.
アクアリウムの蒼い照明 誘うは白昼夢 淡い午後の蜃気楼 暗く深い海の底で あてどなくゆらゆらと 漂っている夢 落ちていく ゆっくりと 海溝の暗闇を 果てしのない静寂の世界へ 重すぎる水圧と 終わりない暗黒が 心を締め付け 呼吸ができない 僕は君を 探していた 泣き疲れ 岩陰で眠る 孤独な人魚姫 長い間 闇の中で 懐かしい君のこと ずっと考えていた 見つめ合い 抱きしめる つかのまの 瞬間に 僕らは 冷えた心をかさねて だがいつか 時は過ぎ 永遠の寂しさが 別れとともに迎えに来るだろう 水に浮かぶ泡のように 夢は醒め 幻覚は そっと現実に還る だけどどこか 夢みたいで 心だけ深海に置いてきたようで 晴れた午後 憂鬱は 僕を呼び 連れて行く 君の待つ蒼い海の底へと ――深い海 深い闇 まだ君は 僕に 忘れることさえも許してくれない 落ちていく いつまでも 海溝の暗闇を ただひとり君の欠けた世界で ――重すぎる沈黙と 終わりない寂寥が 心を締め付け 呼吸ができない
6.
7.
深い深い海の底は 悩みのない素敵な場所 ゆるく遅く時が眠る やすらかなゆりかご 光もなく言葉もなく ここは誰も傷つけない 不安はなくおだやか # 檻のない鳥籠 さあ 降りておいで この場所へ さあ 深く深く 水底へ 光は裏切る 想いを拒絶する こころなんて 求めるほどむなしい みにくいお前にやさしいのは暗闇だけ おもどり 棲み家へ こころ静かな世界へ 怖い怖い 海の外は  秩序のない 危険な場所 終わりのない争いだけ 耐え難く続いて 逃げ場もなく 救いもなく 迷いおびえ さまようだけ こころやさしいおまえに 似合わない 死に場所 さあ 逃げておいで この場所へ さあ 深く深く 水底へ 言葉は惑わす 想いを狂わせる こころなんて 揺さぶるほど苦しい 声などいらない やすらぐのは沈黙だけ おもどり 棲み家へ   暗い静かな世界へ
8.
暗い部屋の片隅にたたずみ 長い夜が戸をたたくのを待つ つかのまのまどろみに目を閉じても たぶん 本当のやすらぎは見つからない 真夜中のしずけさは 物憂げにささやく いつしか忘れた子守歌 懐かしい深海の穏やかなメロディに 耳を澄まして今夜も更けゆく 白い息を吐きながら眺める 窓の外は灰色に染まって 冷え切ったこの身体暖めても たぶん 凍てついた心は戻りはしない 白昼のざわめきは 哀しげにささやく いつしか潰えた冬の夢 耐え難く鳴り響くひび割れた不協和に 耳をふさいで今日も過ぎていく 迷い込んだかりそめの世界は 声の出ない私を拒絶して ひとつだけ願いがかなうとしても たぶん 泡のように消えるのを望むだけ うたかたの毎日はひたすらに虚しく 呼吸もできずに乾いていく ひとときの安息を求めても この地上に居場所なんてどこにもないのに 落ちていくゆっくりと 意識の暗黒に 夢さえも届かない場所へ 真夜中の静寂はやさしげに誘う  深い海の底 私の故郷に
9.
蒼く 忘却は 淡く 澄んだ水のように 深い記憶の水底 やがてすべて埋もれゆく 過ぎた苦しみは甘く 深い水の底に 重い悲しみとともに 閉じこめられ 消えていく 眠れる夢の底へ すべてが沈んでいく 時を過ぎて 記憶はゆっくりと 深い闇の底へと沈む 怖い夢もつらい夢も 長い時とともにすべては消えゆく 水の底へ 過去の喜びは苦く 古い傷のようで 棄てた思い出とともに 痛みだして悩ませる 時を待てば 想いはゆっくりと 水に溶けて崩れて消える 古い夢も熱い夢も 遠い時の果てにすべてはなくなる 水の底へ
10.
11.
暖かい微風が春を運び 凍てついた大地を静かにとかして 咲き誇る花たちは色鮮やか 灰色の風景を覆い隠して あの綺麗な 彼方の幻影も ほんの少し手を伸ばせば届きそうで―― だけど  冷たいこの手で触れるすべて  枯れて崩れていく 壊れていく それゆえ哀れな私には 眩しい世界に触れられない 終わりなく広がるこの青空 濁りなく透明な色に染まって この世界は何もかも美しくて 悩みなどないみたいに微笑みかけて 重い枷に囚われたままなら いっそ一瞬の想いに身を任せたい―― だけど  冷たい身体に触れるすべて 凍り砕けていく 壊れていく それゆえ哀れな私には やさしいあなたに近づけない (ひとりきり 真っ暗な海の底で  何も知らずに生きていれば  ずっと静かに深い夢の中で  やすらかでいられたのに) 陽が落ちた砂浜に 夜が訪れても 懐かしい静寂には戻れないまま 閉じ込めた感情がひどくざわついて 忘却の残り火が心焦がして 闇に叫ぶ絶え間ない波濤は 遠く 永遠のしずけさを待ち望んで―― 夜ごと 誰にも出逢わぬ果ての海で ひとり口ずさむよ 滅びのうた 哀しき魂の輝きが 燃え尽き やすらぎ得られるまで
12.
13.
悲しい予感が胸をひたしても 抱いた想いは消し去れなくて 終末のときまでこのまま待ち続けるよ この世の果て 灰色の渚で 目的地には届かないまま おしまいが近付いて 記憶は風化し 身体朽ちて 心が錆びる 君のことも今は夢のようにぼやけて 過ぎゆく時間をいくら重ねても 自分の想いは裏切れなくて 届かぬ言葉と一緒にむかえるだろう 最後の季節を 壊れた世界が終わりむかえても 想いは消えずに朽ち果てないで 無人の世界で音楽奏でるだろう やさしい歌 世の果ての渚で
14.
World's End 01:20
15.
Daybreak 06:08
長い嵐は通り過ぎ 荒れた波の音も 落ちついて おだやか 空を覆った黒雲も 消えて 夜空に今  星がまたたいている 広い海の静かさに 少し 恐ろしくなる 眠れない日々の孤独が 強く焼き付いていて だけど 錆びたはずの心が動き 暗い夜の終わりを待つ 忘れていた希望とともに 胸は強く高鳴っている やがて辺りは明るんで 涼しくそよぐ風が渚を通り抜けて 夜明け前のしずけさに 少し 恐ろしくなる つらいまま過ぎた昨日を ふいに思い出すから だけど 消えたはずの想いがつのり ただひたすらそのとき待つ 待ち望んだ光とともに ゆっくり今 朝が目覚める (Hum) 昇る 朝の日射しが照らし 浮かび上がる光の海 凍りついた心を 融かし 熱い想い あふれていく 失われた世界がやがて 色を取戻し静かに輝き出す かけがえない予感に満ちて 最初の朝 一日が動き出す

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released August 11, 2017

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